日本の漫画やアニメを無断で外国語に翻訳し、インターネット上に掲載する海賊版サイトが海外で横行している。国際的な監視体制を強化し、対策を急がねばならない。
漫画やアニメなど日本のコンテンツは、海外でも人気が高い。
政府は、海外での売り上げを、2022年の4兆7000億円から33年には20兆円に増やす目標を掲げている。実現するためには、約2兆円とされている海賊版の被害を削減することが不可欠だ。
日本の出版社などでつくる海賊版対策団体「ABJ」によると、漫画などの海賊版サイト数は国内外で1300を超えている。
このうち、日本国内向けのサイトのアクセス数はピーク時の4分の1近くに減った。警察の取り締まり強化や、民事裁判で巨額の賠償命令が出たことが、一定の抑止力となっているのだろう。
問題は、海外の人が日本のコンテンツを現地語に翻訳して発信する「海外発海外向け」サイトだ。英語やベトナム語など10以上の言語に翻訳された作品が無断で掲載され、海賊版サイト全体の約6割を占めている。
日本からは閲覧できないサイトもあり、実態把握が難しい。
出版や映像大手が加盟する「コンテンツ海外流通促進機構」は、海外の捜査当局などと対策を進めている。これまでに22人を摘発し、50サイトを閉鎖させた。
ブラジルでは昨年、日本側との連携で日本アニメの海賊版サイトを一斉摘発した。ベトナムとの間では、首脳レベルで海賊版対策に取り組むことで合意している。
ただ、現地当局の取り締まり能力や著作権侵害への問題意識、法律の整備などが、不十分な国もある。実効性の高い対策を講じるには、国際的な専門機関による一元的な対応が必要だろう。
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各国の捜査機関などと協力し、海賊版サイトの実態や被害を把握するような仕組みを日本主導で整備することも検討すべきだ。
サイトを自由に開設させている大手プラットフォームの責任も重い。違法なサイトの運営者には、不当な広告収入が入る。それは原作者らの権利を侵害することになるという事実を認識すべきだ。
裁判所がサイト運営者の情報開示を命じた場合は、誠実に対応しなければならない。
日本の出版社などは漫画やアニメの正規版の流通に努めている。多言語発信や海外での同時発売も含め、海賊版が横行する余地をなくすべきだ。
情報元
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20240806-OYT1T50033/