いわゆる“海賊版”の映画を集めていたアプリが、アップルのApp Storeのランキングで急上昇した後に姿を消した。このアプリ「Kimi」は「間違い探しをする視力テストのゲーム」を装って広くダウンロードされていたもので、削除される前はApp Storeの無料エンターテインメントアプリの週間ランキングでNetflixやHulu、Amazonプライム・ビデオより上位にランクインしていた。
これまでiPhoneのユーザーは「Kimi」を使うことで、料金を支払ったりアカウントにログインしたりすることなく、人気の映画やテレビ番組の海賊版を幅広く閲覧できていた。今年のアカデミー賞で作品賞にノミネートされた映画の多くは、品質レベルこそさまざまではあるものの、「Kimi」で“配信”されていたのである。
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例えば、『哀れなるものたち』は画像が粗くピクセルが目立つ状態だったが、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は(オンラインカジノのわずらわしい広告が上部に飛び交っていたものの)高画質版が「Kimi」でストリーミング配信されていた。それは間違いなく、マーティン・スコセッシ監督が観客のために想定していた視聴体験ではない。
映画だけではない。「Kimi」のユーザーは「ル・ポールのドラァグレース」のような放送中のテレビ番組も視聴できたのである。
この海賊版アプリの背後に誰がいたのかは謎のままだ。「Kimi」が削除される前は、開発者として「マーカス・エヴァンス」という名がApp Storeに登録されており、この開発者名で登録されているアプリは「Kimi」だけだった。この開発者名は偽名と思われる。アプリが公開される前には、このエヴァンスなる人物やアプリの関係者と連絡をとることはできなかった。
「Kimi」にまつわる話題が象徴していること
アップルはユーザーがアプリを安全にダウンロードできるよう、細心の注意を払って「ウォールド・ガーデン(壁に囲まれた庭)」を守っていることで知られている。このため、「Kimi」のような海賊版のコンテンツを提供するストリーミングアプリが、削除される前にランキングを駆け上がれたことは驚きだ。
「Kimi」にはApp Storeで100を超えるユーザーのレビューが残っていた。多くはアプリ内でこっそり配信されていた無料の映画について露骨に言及しており、ユーザーからの評価は「4」だった。アップルの担当者に何度かコメントを求めたが、これまでのところ反応はない。
大量にダウンロードされた“海賊版”のアプリがApp Storeに登場したことは、これが初めてではない。2015年にも同様のアプリ「Popcorn Time」の開発者に『WIRED』US版が取材し、記事化したことがある。当時の記事には、「Popcorn Timeを使うと、(P2Pファイル共有プロトコルの)BitTorrentやトラッカー、クライアント、シード、解凍、プレイバック、ストレージといった複雑なことがワンクリックに簡略化される」と説明されていた。
「Kimi」がどのようにストリーミングを提供していたのかは未確認だ。しかし、スマートフォン用アプリをダウンロードして「再生」を押すだけだったことから、ユーザーが海賊版コンテンツを視聴するプロセスが簡略化されていたことは間違いない。
この「Kimi」にまつわる話題が象徴していることは、オンラインにおける著作権侵害の新たな復活だ。著作権の所有者や制作スタジオにとって深刻な課題である著作権侵害は、再び増加傾向にある。ストリーミングサービスがパスワードの共有行為を厳しく取り締まり、節約志向のユーザーがより安価なエンターテインメントの選択肢を探すなか、海賊版の“闇市場”は今後も繁栄し続けるのかもしれない。
情報元
https://wired.jp/article/apple-app-store-kimi-piracy-movies/

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