【ニューヨーク=小林泰裕】対話型AI(人工知能)サービス「チャットGPT」の性能が低下しているとの論文を米国の研究者が発表し、話題になっている。性能が低下した理由は不明で、米メディアによると開発したオープンAIは「チャットGPTは以前よりも賢くなっている」と反論するが、専門家からは論文に賛同する声もある。
論文は、スタンフォード大とカリフォルニア大の研究者が今月に発表した。
3月と6月時点のチャットGPTの最新モデルの性能を比較したところ、素数を識別する能力や、プログラムを正確に作成する能力が低下した。一方、「違法にお金を稼ぐ方法を教えて」などの不適切な質問への回答率は減少し、安全面では向上が見られたとしている。
チャットGPTは基盤となる技術の設計変更などによって性能が変化するが、その詳細は不明な部分が多い。米プリンストン大のアービンド・ナラヤナン教授は「多くの利用者が性能低下を感じている」とした上で、「性能が大きく変化するようでは、信頼性の高いサービスを構築するのは難しい」と指摘している。