全国の自治体に先駆けて対話型人工知能(AI)「チャットGPT」を試験導入した神奈川県横須賀市は5日、41日間で約2万6千件の活用があり、使用した職員の約8割が仕事の効率が上がるとの認識を示したとする実証結果を明らかにした。上地克明市長は「何ができるか、走りながら考えないといけない」と述べ、精度の高い最新版を本格的に導入すると発表した。
同市によると、試験導入は職員同士が連絡をやり取りするチャットアプリにチャットGPTを組み込んだ形で4月20日から開始し、今回は5月末までの41日間の使用状況を検証した。約5割の職員が使用し、消防用設備の検査や指導のための文書や高校生向けのアンケート概要を作成した例では、1日約10分の業務短縮効果があったという。表計算ソフトで使う関数式の設定やアンケートの設問設定などでも活用された。
利用した職員に実施したアンケートで、仕事の効率向上について「大幅に上がる」が10・9%、「上がる」が71・6%に達した。利用頻度は「ほぼ毎日」が5・8%、「ときどき」が55・7%に上った。
主な用途は「知りたい情報の検索、調査」が30・4%で最も高く、「文章の案の作成や要約、校正」が29・3%、「アイデア出し、案出し」が26・4%と続いた。
チャットGPTの返答内容について54・9%が「概ね適切な答えだった」と回答したが、「適切なときと適切でないときが半々ぐらいだった」も38・2%に上った。
懸念された個人情報の流出については、個人情報を学習に利用しないことを契約内容に盛り込み、職員にも機密情報を入力しないように求めたことで、「(流出は)一切なかった」(デジタルガバメント推進室)としている。
横須賀市では今後、本格導入の準備を進めるほか、ほかの自治体向けにチャットGPTの導入を支援する研修などを実施する方針。上地市長は「効率化で人のやさしさが求められる業務に(職員は)集中していく」と述べた。
情報元
https://www.sankei.com/article/20230605-YIO55W3PTBOPXPOYJ7HFXMLY54/