ChatGPTの闇、AIのために働く低賃金の人間

ChatGPT、今最もアツイAIチャットbotはマシンラーニングシステムによって動いています。

で、このマシンラーニングシステムは、人間のサポートによって動いています

たくさんの人間をサポートするAIのサポートをする人間。時給15ドル(約2,000円)の彼らの存在が見過ごされている現状を、米メディアが報じています。

俺らの仕事が感謝されることはない。でも、俺らがいなきゃAI言語システムはできない。ニューラルネットワークを作ろうとしたって、どれだけ科学者を連れてきたって、ラベルつけてる俺らがいないとChatGPTはない。俺らなしじゃ何にもできないんだよ。

そう語るのは、米メディアNBCがインタビューした男性Alexej Savreuxさん。ここ数年、OpenAIのシステムトレーニングのために働いているといいます。彼の時給は15ドル。福利厚生はなし

時給15ドル=約2,000円は、日本では高時給に当たると思います。アメリカの最低賃金は時給7.25ドルで、日本の最低賃金平均と大差なし。ただ、アメリカの最低賃金を州別で見るとその幅は日本の県別よりもずっと大きく、たとえばカリフォルニア州やニューヨーク州では、最低賃金が15ドル前後になっています。異常な物価高が続くアメリカでは、場所によっては15ドル=最低賃金、または低賃金の仕事だと考えられます。ちなみに、Savreuxさんはミズーリ州在住なので、15ドルは州の最低賃金のほぼ倍に当たります。

AIトレーニングに必須の人的手作業

Savreuxさんの仕事であるラベリングは、AIのトレーニングシステムがよりわかりやすく学習できるよう、膨大な出たセットの中の特定アイテム(画像やテキストなど)をジャンル分けし、ラベルをつけていく作業のことです。

マシンラーニングモデルの性能をより高めるために、教材をわかりやすくしてあげる、これはAI業界で必須の人的タスクとなります。

報じられているのは、AIにとって必須となる作業なのに彼らの存在が讃えられるどころか、表にでることもほぼなく、雇い主=AI企業からの扱いも悪いということ。

これはAI企業だけでなく、テック業界の闇。誤解を恐れずにいうと、ラベリングは時間がかかる上に手作業ですが、特殊な知識や技術を必要としません。結果、低賃金求人になってしまうと…。

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時給15ドルは安い? 高い?

時給15ドルというSavreuxさんの状況は、以前のOpenAIの待遇よりはずっといいもの。

過去の報道では、OpenAIはラベリングをアフリカに外注、時給2ドル(約270円)という価格で労働者を募っていました

殺人や拷問、性的暴行などのコンテンツをフィルタリングする仕事で、精神的苦痛を伴うものでした。これは「倫理的なAIサプライチェーン」をうたう派遣会社Samaとの契約によるものですが、倫理的といいつつ、実態は発展途上国の低賃金労働者と巨大なテック企業を繋ぐのが実情といったところ。

ちなみに、Samaは悪烈な労働環境を作ったとして提訴されています。

さまざまなタスクをこなしてくれる魔法のようなAI。ただ、その根幹となる単純タスクはできないAI。単純作業に15ドルは高いのか…。AIへの貢献を考えれば15ドルは安いのか…。

情報元
https://www.gizmodo.jp/2023/05/chatgpt-openai-ai-contractors-15-dollars-per-hour.html