「お風呂が好きな人が多い」と言われる日本。しかし、最近の調査では「シャワー派」が「湯船派」を逆転する状況に。一方で「湯船」に浸かることには、医学的にもさまざまな効果があることが知られています。あらためて、入浴と健康の関係をまとめます。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
「シャワー派」が「湯船派」を逆転
「日本人は湯船に浸かるのが好き」と長らく言われてきました。しかし、慌ただしい現代社会においては、そんな国民性にも変化が訪れているようです。
LINE株式会社が2020年に約5000人のLINEユーザーを対象に行った調査『シャワー派?湯船派?みんなのお風呂事情』があります。スマートフォンによる調査方式で、日本全国の15歳〜59歳の男女5252人が回答しました。
この調査によれば、普段の入浴方法について、全体では「シャワー派」が52%、「湯船派」が47%と、「シャワー派」が上回る結果に。
年代別に見ると20代では「シャワー派」が多く、6割以上に。10代、30代~40代では「シャワー派」と「湯船派」がほぼ半々。「湯船派」が「シャワー派」よりも多かったのは50代だけで、「湯船派」が6割弱という傾向でした。
入浴時間について、「湯船派」は21分以上が過半数で、時間をかけてゆっくり入浴しているよう。一方の「シャワー派」は20分未満が7割近くと、入浴自体をさっと済ませる人が多いようです。
10分以下という短時間も一定いて、「湯船派」では2割弱、「シャワー派」では約3割。また、「30分以上」入浴するのは女性の方が多く、一方で「10分以下」は男性の方が多い傾向だったということです。
「湯船にお湯を張る」という習慣は、なかなか贅沢な時間の使い方になっているとも言えそうです。
寝つきを良くする入浴法
「湯船に浸かる」ことは、医学的にも効果的な休息法であることがわかっています。まず、湯船に浸かる入浴には、主に次のメリットがあるとされています。
・温熱効果:皮膚の血管が拡張し、血流が促進される
・水浴効果:筋肉がリラックスし、首や腰などの負担が軽減される
・心理的効果:心の緊張が緩和され、不快感が取り除かれる
こうした入浴のメリットは、健康にもいい影響を与えることが、近年、医学的にも研究されています。
2020年に発表された研究(※)では、(湯船に浸かる)入浴によって、脳卒中や心筋梗塞などの病気のリスクが下がることが明らかになっています。
この研究は約3万人を1990年から2009年まで追跡し、入浴回数と脳卒中や心筋梗塞の発症率との関連を分析した大規模なもの。その結果、よく入浴する人の方が、あまり入浴しない人よりも、心臓病や脳卒中になるリスクが低いとわかったのです。
これは、血管が拡張し、血流が促進されることで、血圧が低下することが理由だとされています。
国立精神・神経医療研究センターによれば、睡眠との関係も踏まえると、就寝の2~3時間前の入浴が理想とされます。38℃のぬるめのお湯で25〜30分、あるいは42度の熱めのお湯なら5分程度がおすすめです。
また、腹部までを湯船に浸け、約40度のお湯で30分ほど汗をかく程度に入浴する半身浴でも寝つきは良くなるそう。
忙しい日々、なかなか時間が取れないこともありますが、時には湯船にお湯を張り、自分がリラックスできる好みの条件を探してみるのもいいかもしれません。
情報元
https://withnews.jp/article/f0230508000qq000000000000000W0bx10701qq000025726A