日本向けのものとしては最大規模のアニメの海賊版サイトを運営していたなどとして、日本の業界団体の要請を受けて捜査を進めてきた中国当局が、国内の男女4人を摘発したことが分かりました。
団体によりますと、日本側の働きかけをきっかけに、中国を拠点とする海賊版サイトの運営者らが現地の公安当局に摘発されたのは初めてです。
日本のアニメ会社などが加盟する「CODA=コンテンツ海外流通促進機構」によりますと、中国で摘発されたのはいずれも30代の男女4人で、日本向けのものとしては最大規模のアニメの海賊版サイト「B9GOOD」の運営に関わった疑いが持たれています。
このサイトは、2008年に開設されて以降、日本のアニメを中心に映画やドラマなど多数の作品を無断で配信していたとみられ、先月までの2年間のアクセス数は3億を超え、多い月では1か月に1580万余りのアクセスがあったということです。
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ほとんどが日本からで、CODAはサイト側にメールなどで繰り返し削除要請を行ってきましたが応じず、サイバーセキュリティーの専門家らと連携して調査を進めた結果、中国を拠点に運営されていることが分かったということです。
今回の摘発は、こうした情報を中国当局に提供したことがきっかけで、中国・江蘇省の公安当局が先月から今月にかけて摘発に乗り出し、サイトは閉鎖に追い込まれたということです。
サイトの運営で日本円にして1億数千万円の収益を上げていたとみられます。
海賊版サイトの拠点が海外にシフトする中、CODAは現地当局に情報提供するなど根絶に向けた対策を進めていて、中国では去年、漫画の海賊版サイトの運営者が行政当局から罰金を命じられましたが、公安当局による摘発は初めてだということです。
海賊版サイト 拠点を海外に移す動きが加速
人気アニメや漫画などをネット上で無断で公開する海賊版サイトは、拠点を海外に移す動きが加速していて、運営者の特定や摘発は容易ではありません。
CODAは現在、25のアニメ海賊版サイトを特に悪質なサイトと分類して監視を強めていますが、その拠点は中南米や東南アジアなどにシフトしている疑いがあるということです。
サーバーを海外に置いて、発信者の特定を困難にさせるねらいがあり、特定しようとしても、海外の司法手続きや関係機関との連携には時間とコストがかかるうえ、海賊版対策は国によって温度差があることなどから、抜本的な解決には至っていないのが現状です。
また、サイトの名称やネット上の住所に当たる「ドメイン」を次々に変えたり、特定の地域からのアクセスを遮断する「ジオブロッキング」という手法で違法行為の発覚を免れようとしたりする海賊版サイトもあり、追跡を逃れる手口も巧妙化しているということです。
このため、日本の業界団体では、海賊版サイトの収入源になっている「広告収入」を絶つため、海外の広告会社に要請を行うなどの対策も進めています。
今回の摘発について、CODAの後藤健郎代表理事は「われわれの告発によって中国で海賊版サイトが刑事摘発されたのは画期的だ」としたうえで「この海賊版サイトは日本からの視聴が非常に多く、それによってサイト側の広告収入が増えて犯罪行為の助長につながっていた。『海賊版サイトは見ない』ということを一人一人が意識することが大事で、さらに国際連携を強化し対策を進めていきたい」と話しています。
情報元
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230328/k10014021601000.html
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC048TY0U2A101C2000000/