Ars Technicaは3月10日(米国時間)、「HP outrages printer users with firmware update suddenly bricking third-party ink」において、米Hewlett-Packardが同社製のプリンタにおいてサードパーティのインクカードリッジの使用をブロックするファームウェアアップデートを行い、ユーザーからの不評を買っていると伝えた。
この機能は「ダイナミックセキュリティ」と呼ばれており、HPが認証済みのセキュリティチップが搭載されたカードリッジをセットした場合のみ印刷ができるようにするもの。それ以外のサードパーティ製カードリッジを利用した場合、印刷が拒否されるという。
HPがこのダイナミックセキュリティ機能を有効にするファームウェアアップデートの配信をいつ始めたのかは明確ではないものの、Ars Technicaによれば2022年末頃からこの件に関する苦情がインターネット上に増え始めたという。最近HPプリンタのファームウェアアップデートを行ったというRedditユーザーは、従来は問題なく使えていたサードパーティ製のインクカードリッジが、アップデート後に次のような警告で印刷に使用できなくなったと報告している。
HPのセキュリティチップを搭載しないインクカードリッジはブロックされるという警告文
プリンタメーカーがこのような制限を実施する表向きの理由は、認証を受けていないインクを使用した場合に印刷の品質を保証できなくなるからとされている。目詰まりなどの理由によってプリンタ本体が損傷する可能性があることもリスクとして挙げられる。しかしその裏の理由として、プリンタ本体の値段を下げる代わりに高価なインクカードリッジを購入させるというビジネスモデルがあることはよく知られている。
HPは、一部のプリンタ向けにダイナミックセキュリティを無効にするファームウェアアップデートも提供している。ただし、このダイナミックセキュリティの無効化は2016年12月1日より前に製造された機種のみを対象としたものであって、それ以降に製造された機種については引き続きダイナミックセキュリティが動作するとのこと。無効化できるプリンタのリストは次のサポートページに掲載されている。
HPはあくまでも純正のインクカードリッジ以外の使用は推奨しておらず、上記のリストアップされたダイナミックセキュリティ無効化の対象機種でも、サードパーティ製インクカードリッジが正常に動作しない可能性を示唆している。また、現在動作しているインクカートリッジでも、定期的に配信されるファームウェアアップデートによって突然使用できなくなる可能性があると説明している。
情報元
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20230313-2622841/