ブラックカードは皆無、プラチナを持っている人もごく少数
お金持ちはすごいカードを持っているという印象があるかもしれません。確かにそういう人もいるでしょうし、テレビなどでもセレブ感満載の人がブラックカードを持っているところを見せることもあるようです。しかし私の友人知人の中で、ブラックカードは皆無、プラチナを持っている人もごく少数で、ゴールドカードがほとんどです。
それは私の交友関係の狭さに起因するだけかもしれませんが、そもそもお金持ちの多くは必要なものにはドカッとお金を使う一方、不要だと判断したらビタ1文も払わない傾向があります。仕事上で有利になる演出目的以外で、見栄のためにお金を使うこともありません。
そういう観点で私の周囲でブラックカードを持っている人がいない状況を考察すると、おそらく以下の問題があるからではないかと推測します。
こうした上級カードには専用コンシェルジュサービスがあり、世界中から欲しいものを取り寄せてくれたり、予約困難なレストランや満室のホテルでも無理やり取ってくれたりします。飛行機も空きがあればファーストクラスにアップグレード、提携ホテルでもスイートに自動アップデートします。各種損害保険なども分厚く、いろいろな特典が付帯しています。
とはいえ、実際には使いきれないことがほとんどではないでしょうか。また、たとえばフェラーリやベントレーをカードで買うような層には便利だと思いますが、金額無制限のショッピング枠があったとしても、よほどの大富豪でなければそこまでカードで買う人はそう多くないでしょう。
と言いながらつい最近、昔からSNSでつながっている投資家の一人がブラックカードを持っていました。カード会社からブラックのインビテーションが来て切り替えたのだそうです。(SNSへの投稿で発覚)
「年会費が高いのにどうして?」と聞くと、その人は地方に住んでいることから、デパートの外商に自宅まで来てもらい、1回200万円ほど買い物をするとのこと。そのデパートでの買い物はポイント付与率も高いそうで、今回切り替えたそうです。
そういう人もいるんですね……。
また、カードの色を「ステイタス」と感じる人もいるのかもしれませんが、確かに昭和では一般カードで実績を積んだのちにゴールドに切り替えられるという、お金持ちの象徴みたいな時代もありました
自分の消費傾向や行動パターンに最もマッチしたカードを選ぶことが大切
しかしいまは誰でもカードを持てますし、昨今の富裕層はそういう見栄にはお金を払わない。さらに現在ではスマホ決済やタッチ決済が浸透しており、カードを取り出す機会すら激減していますから、もはや見栄を張る道具にもならないでしょう。
私自身と言えば、以前とある企業が発行するブラックカードの招待(勧誘)を受けたことがありますが、年会費は確か15万円くらいだったように記憶しています。
それでその発行企業が主催するブラックカードホルダーを集めたパーティーに一度参加させてもらったことがあり、確かに有名芸能人やプロスポーツ選手、テレビでも見かける著名人がいて、そんなセレブはブラックカードを持っているようでした。
しかし自分の消費行動を考えると、実際にはその年会費に見合ったメリットが享受できそうにない。かといって一般カードでは使える上限が低く、あっという間に限度額に達してしまって逆に不便。
なので年会費がかかるゴールドカードを持っていますが、高額の支払いを1カ月待ってもらえる利息だと受け止めています。
それに昨今はカード競争が激化しており、年会費無料のカードでもかなり手厚い付帯サービスがついていて、それらも随時進化しています。だからもっと魅力的なカードが出たらそちらに切り替えたい。
法人カードで事業費(仕入など)をガンガン決済したい人や、数百万円以上の高額品をよく買う人、海外出張が多く手配の手間を削減したい多忙な人、旅行が趣味で空港ラウンジやホテルなどでゴージャスにくつろぎたい人など、本人の行動特性とカードの付帯サービスがマッチしている一部の人を除くと、ほとんどの人にとってはコストパフォーマンスが悪いカードに映るのではないでしょうか。
とはいえこれはブラックカードが無駄ということではなく、自分の消費傾向や行動パターンに最もマッチしたカードを選ぶことが大切ということです。
そういえば世界の大富豪、ビル・ゲイツ氏が持っているのはアメックスの一般カードだという話を聞いたことがあります。