「社長こそSNS発信するべき」──。今やSNSは情報発信に欠かせないツールです。会社でSNSを活用したいものの、どうすればよいかわからない経営者も多いのではないでしょうか。本連載では一般社団法人大人のインフルエンサー協会の代表理事を務める秋山剛氏が、著書『ゼロから集客できる社長のSNS発信』から、経営者がSNSを活用するコツについて解説します。
企業が炎上してしまう主な要因
BANや炎上、担当者の退職に備えてマニュアルを作成すべし
企業としてSNSで発信する際にもっとも注意しなければならないのは、いわゆる「BAN(アカウント停止)」への対策や、炎上対策です。
BAN対策に不可欠なのは、まずそのSNSのガイドラインを守ることです。社内でSNSに関わる全員がSNSのガイドラインを共有・認識しておきましょう。
炎上してしまう主な原因は、バズらせる目的で暴走してしまうことです。バズれば何でもいい、という発想にならないよう、SNSを行う目的やルールを盛り込んだ運用マニュアルをつくって定着させておく必要もあります。
SNSを運用するうえで、担当者の退職もリスクのひとつです。担当者が替わったときに発信が滞ったり発信内容が変わったりしないよう、マニュアルを作成しておくのがおすすめです。
また、運用をはじめたら、担当者だけに任せきりにせず、直属の上司や社長もしっかりと確認するようにしましょう。思うように結果が出ていないSNSの場合、担当者に任せきりになってしまっているケースが多いのです。
担当者に任せて、クリエイティブな発信をしていくのはもちろんいいことですが、会社のブランドイメージを損なわないよう、チェックすることを習慣にしたいですね。
社長が発信するうえで、本当に大切にしてほしいこと
本質、本物を発信する
SNSで発信している本人が、自社の商品に心から自信を持っていなかったとしたら、その本心が視聴者にはわかってしまうものです。とくにライブでは隠せません。SNSもリアルも、ますます嘘をつけない時代になってきているのです。
自分の本当の使命や確固たる信念を持って、堂々と自社の商品を売っていきたい人にとっては、とても適した時代と言えるでしょう。
一方、小手先でビジネスを行ってきた人にとっては、厳しい時代であり、そのままでは経営が続かなくなる可能性もあります。
自分をつくる時代は終わった
「SNSに取り組むこと」=「自分らしさ探し」でもあります。これは、自分の最大の価値を見つめることであり、苦しいことでもあります。
とりあえずキャラづくりをしようと、インパクト重視のキャッチフレーズや見た目に走る人もいますが、残念ながらそれでは長続きしません。
また、実際には毒舌なのに、ぶりっ子キャラを演じたり、本当は腹黒いのに聖人のような振る舞いをしていたりすると、どこかで無理が生じます。
矢印が自分に向いているか、伝えたい人に向いているのか。この違いは大きいでしょう。
人からどう見られたいと思っているかということが先行してしまうと、どうしても、キャラクターに嘘がにじみやすいのです。プライドを捨てられずに自分をつくってしまうより、もがきながらでも腹をくくって発信している人に、心がつかまれるものです。
発信することは、自分と向き合うこと
わたしは、長年結婚相談所を運営してきましたが、自分が本当にしたいことは「結婚する人を増やすこと」なのか、じつはずっと違和感を感じていました。
そして自分と向き合い続けた結果、「次世代に希望を与える大人を増やす」という、本当に自分のなかにあるものを言語化することができたのです。次世代にかっこいい姿を見せる、かっこいい姿を伝えていく、かっこいい大人を増やす。これこそが、わたしが心の底から考えていたことでした。
想いを出しているつもりでいても、本当の信念とズレていることも少なくありません。
自分の価値観やいままでしてきたこと、伝えるメッセージがズレていれば、違和感が生まれますし、いつの間にか苦しく感じてしまうでしょう。この状態では明らかに結果も出にくくなります。
自分と徹底的に向き合うことで、メッセージは強くなるはずです。想いと行動が一致していることは、本当に重要なことなのです。
ピッタリのものは簡単には見つからないのですが、見つかれば言葉に圧倒的な力が生まれます。これは大切なことですから、探し続け、常に見直していきましょう。SNSで発信していることが、本当に自分の想いが乗ったものなのか、しっかりと見極めてください。
わたしの場合は、経営が行き詰まり、倒産寸前のときに、やっとのことで想いと活動が一致しました。必死になると、本質が浮かび上がってくるのかもしれません。とくに社長であれば、逃げずに取り組んでいくべきです。