電力大手の顧客情報漏えい問題が拡大している。経済産業省の電力・ガス取引監視等委員会(電取委)は30日、情報漏えいの発生を公表していた中国電力に対し、電気事業法に基づく報告を求めた。関西電力は同日、情報漏えいに関する新たな調査結果を公表、不正件数は昨年4~12月に4万件超に拡大した。
電取委の発表によると、中国電では昨年12月19~25日、送配電子会社が持つ新電力の顧客情報約4000件を不正に閲覧していた。昨年12月に関電で情報漏えい問題が発覚して以降、電取委が報告を求めた電力大手は6社目で、2月10日までに詳細な調査結果を報告するよう求めている。
電力大手の送配電子会社は新電力にも送電線を貸しており、新電力の顧客の氏名や住所、電力使用量などの情報を持っている。電気事業法では電力大手と新電力の公正な競争環境を維持するため、送配電子会社の持つ顧客情報を親会社の小売り部門などと共有することを禁じている。
報告を求められた電力大手ではこれまでに、関電と東北電が詳細な調査結果を報告、公表している。関電の不正閲覧の件数は昨年4月~12月19日に4万806件まで膨らんだ。実際に顧客情報が営業に活用され、関電との契約に切り替えられていたケースもあった。
また、東北電が27日に発表した調査結果では、不正閲覧が少なくとも2万6000件超あった。ただ、東北電は閲覧された情報は「営業活動には使われていない」としている。