検挙者の1/4が子どものいる職場で働く人々
フランスでは、年に少なくとも一度、児童ポルノ画像・動画所持者の一斉検挙が行われ、メディアで大々的に発表される。今年は、11月16日、全国で48人が検挙された。もちろん、警察の暴力対策本部は一年を通じて児童ポルノ法違反者を捜査しているが、一人が検挙されるだけではニュースにならない。しかし、数十人が一斉検挙され、その職業や社会的地位が発表され、社会的地位のある人もその中に含まれていれば、「あの人が?」と、国民にはかなりのショック療法、及び防止キャンペーンにもなる。今年も各メディアで大きく取り上げられた。
Pédopornographie: 48 hommes, dont plusieurs élus, interpellés en France pic.twitter.com/MMft5UZVwr
— BFMTV – Matinale (@PremiereEdition) November 17, 2022
今回、検挙されたのは26歳から79歳。全員男性という以外には特定のプロフィールはなく、社会層は様々である。これまでにも、難関大学の学長や、元陸軍将校などを含めた有名人が逮捕され国民を驚愕させたことがあったが、今回は、小さな村の村長、数人の文部省職員、3人の子どもの父親が含まれていた。とくに、検挙者の1/4が子どものいる職場で働く人々であることが、大きく問題視されている。
子ども向けの、児童ポルノ撲滅運動キャンペーン
ところで、この一斉検挙のために、仏警察はアメリカ製ソフトウェア、Child Protection Systemを使用した。Child Rescue Coalitionというフロリダ州に拠点を置く児童保護運動団体が制作したもので、マーカーがつけられたある特定の画像(ダークネット上のものも含める)を閲覧した人のIPアドレスがわかるというものだ。アメリカの連邦捜査局FBI及び、97か国の警察機関で使用されており、これまでに世界中で13800人の検挙を可能にした。
世界でワースト4位のフランス
インターネット上の児童ポルノ画像・動画流通の撲滅を目指している国際的な連合組織であるINHOPEによる調査によると、児童ポルノwebサイトが一番多いのはオランダ、そしてアメリカ、ロシア、フランスの順である。
同団体は「未成年者を性的搾取する内容」の画像は、2021年、世界中で8500万あまりあったと報告。そして、その約60%がEU加盟諸国のサーバーからのものであり、「人権の尊重」を基本条約で掲げているEUにとっては大問題になっている。この10年で、EU内での通報件数は6000%増加したという。
そのため、欧州議会はインターネットのサービスプロバイダーに、これまでは自主的措置に過ぎなかった児童ポルノ投稿の監視・通報・消去を義務付ける指令案を今年の7月に可決した。一方、「表現の自由の侵害」を懸念する声も多く上がっており、今後EU理事会で厳重に審議される予定だ。
Rapport Annuel (pdfファイル)
https://www.pointdecontact.net/wp-content/uploads/2022/11/Rapport-Point-de-Contact-2021.pdf
情報元
https://news.yahoo.co.jp/byline/puradonatsuki/20221125-00325429