2022年2月に始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、半年以上が経過した記事作成時点でも継続しており、ウクライナ東部と南部の一部地域はロシアによる支配を受けています。そんな中、ロシアの占領地域から「IPアドレス」が戦利品として奪われているとのことです。
RIPE meetings: IP addresses as spoils of war – TechAint
https://techaint.com/2022/10/30/ripe-meetings-ip-addresses-as-spoils-of-war/
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IPアドレスや自律システムの管理・配布についての方針を策定するフォーラム・European IP Networks(RIPE)の第85回会議が、セルビア共和国のベオグラードで開催されています。ウクライナのメンバーはこの席上で、「ロシアによる占領地域からのIPアドレス没収を防ぐための対策が必要」と訴えています。
ウクライナ法務省のアドバイザーを務める弁護士のAndrii Pylypenko氏は、ウクライナのIPアドレスを新たなロシアのウェブサイトに移転することは違法であり、ウクライナ企業からロシアの所有者に対するIPアドレスの移転を直ちに停止するべきだと主張しています。
Pylypenko氏の主張はウクライナの企業や代表者から支持を受けており、IT企業のWeb Proに所属するOlena Kushnir氏は、「銃を突きつけられて」IPアドレスを強制移転させられた事例を知っていると語りました。また、ウクライナ電気通信協会のViktoriia Opanasiuk氏は、ロシアによるIPアドレスの強制移転は重要な問題であり、これ以上時間を失うべきではないと訴えました。
Pylypenko氏は、可能な限り最善の保護措置はウクライナのIPアドレスおよび自律システムの移転を即座に凍結することだと主張。ヨーロッパ、中東、中央アジアを管轄する地域インターネットレジストリである地域インターネットレジストリのRIPE NCCがウクライナ当局と協力し、RIPE NCCが法的リスクを負う可能性を軽減しつつ、速やかにウクライナのIT企業を保護できると述べています。
これに対し、RIPE NCCの法務顧問であるAthina Fragkouli氏は、すべてのIPアドレス移転を凍結することにより、合法的な移転にも影響が及ぶ可能性があると懸念しています。また、自治的な組織であるRIPE NCCの取り組みにウクライナ当局が関与する点も問題があるとのこと。Fragkouli氏は、「私たち自身の取り決めに違反しないよう、メンバーによって承認された対応ポリシーを採用したいと思っています」と述べました。
しかし、新しいポリシーの採択には少なくとも数カ月かかる見通しであり、緊急の解決策を必要とするウクライナの関係者にとっては遅すぎるとの批判もあります。そのため、一時的な凍結措置は「契約上の合意」と見なして新たなポリシーではないとする回避策や、国家の特殊な状況に応じて後からIPアドレスの譲渡を取り消せるようにする免責事項の追加など、ポリシー変更以外の方法も検討されているとのことです。
情報元
https://gigazine.net/news/20221101-ip-addresses-as-spoils-of-war/