2022年も気がつけば半分が過ぎました。日本のゲーム業界を眺めれば、国内以上に海外で高い評価を得るタイトルが続々と誕生しています。上半期はどんなゲームが売れたのか。大ヒット作4本と国内ファンから称賛を集めた2本、合わせて6本を見ていきましょう。
国内最大級の品揃え【DMMブックス】Xserverドメイン
『ポケモンレジェンズ アルセウス』
Nintendo Switch/ポケモン/1月28日発売
今年上半期、Nintendo Switchで一番売れたのは『ポケモンレジェンズ アルセウス』。任天堂の決算資料によると、1月に発売され、3月末までに全世界1264万本(国内364万本・海外917万本)を記録しました。広大なヒスイ地方を探索し、ポケモン図鑑を完成させていくアクションRPG。怖さもあり、かわいさもある活き活きとしたポケモンが好評でした。
<ヒットの理由>
3D化された世界を自由に探索できること。『ポケモン』シリーズではこうした本格的な3D探索型はほぼ初めてで、ポケモンたちが野生で生息している様子が観察できると、普段ゲームをしない層にも口コミで広まりました。2022年11月発売予定の“オープンワールド”をうたった『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』へのバトンとしても大きな役割を果たしたと言えそうです。
『エルデンリング』
PS4 PS5 Xbox One Xbox Series X/S Steam/フロム・ソフトウェア/2月25日発売
PS系で上半期一番売れたのは、2月に発売されたオープンワールドのアクションRPG『エルデンリング』。3月末の時点で世界累計出荷本数1340万本を突破したことが、海外販売を担当するバンダイナムコ ホールディングスから発表されています。北欧神話を思わせる荒廃した世界を舞台に、王を目指す「褪せ人」を操作して戦っていく本作。『ダークソウル』など、“死にゲー”の異名を取る『ソウル』シリーズの系譜を継ぐ硬派なゲーム性で、今回も「最初のボスがラスボスくらい強い」という嘆きがSNSを賑わせました。
<ヒットの理由>
自由度の高さや凝った作り込みはもちろんのこと、絶妙な難易度設定でプレイヤーの挑戦心をかき立てている点。元来ゲームが持っていた“歯応え”を取り戻したのが『ソウル』系シリーズだと言えるでしょう。また、実況人気もヒットの理由。難しいからこそ本気のプレイとなり、実況者の素顔や絶叫がさらけ出されるのが『エルデンリング』実況の面白さ。『ソウル』系の実況はもはや恒例行事となっています。
『星のカービィ ディスカバリー』
Nintendo Switch/任天堂/3月25日発売
3月に発売された『星のカービィ ディスカバリー』は、シリーズ初となる3Dアクションに舵を切った最新作。発売1週間で世界265万本(国内85万本)を記録し、シリーズの新生を印象付けました。文明と自然が融合した未知なる「新世界」が舞台。自動車や自動販売機をほおばると特殊なアクションが使える新要素「ほおばりヘンケイ」もかわいいとの声が上がっています。
<ヒットの理由>
3D化によってカービィの動きのかわいさが強調されたこと。フィールドが3Dになることで世界のリアリティが増し、その臨場感のなかでキャラクターの魅力がアップするというのは、2Dから3Dへ移行する際の任天堂作品の上手さといえるでしょう。
『Nintendo Switch Sports』
Nintendo Switch/任天堂/4月29日発売
まだ公式発表はありませんが、販売好調が伝えられているのが体感スポーツゲーム『Nintendo Switch Sports』。かつて大ヒットした『Wii Sports』シリーズの新作で、新種目「バレーボール」「バドミントン」「サッカー」が追加されています。世界累計8290万本というゲーム史上に名を残す大ヒットタイトル『Wii Sports』を越えるのはさすがに難しいと思いますが、ロングセラーになりそうな気配です。
<ヒットの理由>
『Nintendo Switch Sports』はフィットネスゲームではないものの、やはり体を動かして遊ぶゲームには根強い需要があります。Nintendo Switchから生まれたオリジナルタイトル『リングフィット アドベンチャー』を筆頭に、今後も「運動(健康管理)×ゲーム」はゲーム界の重要なキーワードとなるでしょう。
『刀剣乱舞無双』
Nintendo Switch、STEAM/EXNOA/2月17日発売
ゲーム雑誌の統計で同週発売の『ホライゾン Forbidden West』を抑えて週間セールス1位になったことから、一部SNSで盛り上がりを見せた『刀剣乱舞無双』。2015年にスタートし、いまだに根強い人気を誇っている刀剣育成シミュレーション『刀剣乱舞』と、おなじみの『無双』シリーズがコラボした3Dアクションです。
<ヒットの理由>
ヒットの理由は、クオリティの高い3Dグラフィックとフルボイス。オリジナル作が支持される理由である登場人物の魅力を丁寧に再現しています。『無双』シリーズがアクションゲーム初心者にも遊びやすいというのもポイントのひとつ。『無双』シリーズは今後、キャラクターの魅力を活かす器として、従来以上に存在感を高めていきそうです。
『トライアングルストラテジー』
Nintendo Switch/スクウェア・エニックス/3月4日発売
はっきりとした本数は発表されていませんが、新規のオリジナル作であり、シミュレーションRPGというコア層向けのジャンルながら、まずまずの健闘が伝えられている『トライアングルストラテジー』。戦乱のノゼリア大陸を舞台に、陰謀が交錯する三国の争いに名家の嫡男である主人公のセレノアが巻き込まれていきます。
クォータービューの見下ろし型3Dマップや、信念を問われる物語分岐など往年の名作『タクティクスオウガ』へのオマージュが強く感じられるタイトル。本作のリリース後には、スクウェア・エニックスが『Tactics Ogre: Reborn (タクティクスオウガ:リボーン)』という商標登録を出願していたこともわかり、話題になりました。
<ヒットの理由>
『タクティクスオウガ』は「週刊ファミ通」に歴代ゲーム人気投票ランキングに長年ランクインを続けてきた偉大な作品。この『タクティクスオウガ』を彷彿とさせる、倫理観を鋭く問う骨太なシナリオが好評でした。過去のヒット作をどう活かすかはセンスが問われるところ。ベタ移植でもリメイクでもなく、リスペクトをもってエッセンスをうまく活かした好例ではないでしょうか。
このほか、『eBASEBALLパワフルプロ野球2022』も、KONAMIの公式リリースによると6月には累計出荷本数50万本突破と手堅くヒットしました。『ポケモンレジェンズ アルセウス』『エルデンリング』が突出して高いセールスを記録したものの、世界がウィズコロナに舵を切り、ゲーム業界的にはややリアルな娯楽に押されている印象です。
とはいえ、下半期には『スプラトゥーン3』『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』『スターオーシャン6』『ドラゴンクエストX オフライン』『ソウルハッカーズ2』など期待の大作も控えています。